BACK TO THE FUTURE 2

バック・トゥ・ザ・フューチャー2

書　籍　紹　介
　
映　画　紹　介
書　名 スクリーンプレイ
「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」		 製　作 1989年
編　集 池下　裕次、Kim A. Lutz 会　社 Universal City Studios
仕　様 A5版、106ページ 監　督 Robert Zemeckis
発行日 1990年4月 脚　本 Bob Gale
出版社 株式会社スクリーンプレイ 出　演
 Michael J. Fox
定　価 本体1,200円（税別） Christopher Lloyd
ISBN 4-89407-034-0 Lee Thompson

この映画のストーリー
　やっとの思いで 1985年の現代に戻って来たマーティーの目の前に、またもやドクがデロリアンに乗って現れた。2015年の未来でマーティーの息子が強盗未遂で投獄されると言うのだ。ジェニファーも連れて３人で未来に急行する。2015年は自動車が空を飛ぶまでに技術進歩していた。マーティーJR. をなんとか危機から救い、ほっとして現代に戻ると、マーティーの家には黒人の家族が住み、町は荒廃し変わり果てていた。ドクがその理由を解き明かす。マーティーが未来で手に入れた「スポーツ年鑑」を、ビフ老人がデロリアンで過去に飛び、若き日の自分に手渡すことによって、ビフはギャンブル連戦連勝で巨万の富を築いていた。彼はヒルバレーを牛耳るのみならず、なんとマーティーの父ジョージを殺し、母ロレーンを妻にしていたのだ。
　この悪夢のような時代を元通りに修復するには、過去に戻って若き日のビフから問題の年鑑を奪回する以外に手はない。過去のその日とはまさに、1955年11月の落雷の日であった。学校のダンスパーティーに向かうビフの車に身を隠し、年鑑を奪い取る機会を狙うマーティー。パーティー会場ではもう一人の自分がギターを弾いて歌っているところだった。ビフと危機一髪の争奪戦の末、ついに年鑑を取り戻すことに成功し、重大な使命は達成された。だが、その時すさまじい稲妻がひらめいたかと思うと、ドクの乗るデロリアンが忽然と姿を消した。呆然とその場に立ちすくむマーティーに、見知らぬ男が歩み寄り声をかける。70年前に預かった古い手紙を君に渡しに来たと言うのだ。それは、稲妻に打たれたドクが 1885年にタイムスリップしたことをマーティーに知らせる手紙だった…

　前作でマーティーが30年前の過去にタイムトラベルしたことにより、父ジョージがビフをノックアウトするという快挙をなし、その結果、1985年のマクフライ家は裕福な家庭に様変わりしてしまっていた。パート２では、その過去と未来の因果関係が悲惨な影響を及ぼすことになる。健全なヒルバレーが、無法者のビフに牛耳られた悪の巣食う地獄の町に変貌したのだ。元はと言えばマーティーが未来に行った時、ほんの出来心で「スポーツ年鑑」を手に入れたことが原因であった。ギャンブルとはいえ、unfair な方法で金儲けをすることの戒めが含まれている。金融戦争を描いた映画「ウォール・ストリート」はインサイダー取引きへの警告であった。事が起こる前に既に結果が分かっていることの不条理は、我が国の建設業者の談合やゼネコン汚職の問題と根は同じなのではなかろうか。


この映画の英語について
　全体的に標準アメリカ英語であり、発音の明瞭さと適度な会話スピードはヒアリングには恰好の映画である。特に若者の間で使われる口語表現やジョーク、そして現在、過去、未来の３つの時代の相違に基づいたギャグがいっぱいである。2015年の未来のハイテクぶりには驚かされる。hover conversion の自動車が skyway を飛び、skateboard が hoverboard に変わっているのである。power laces（紐が自動的に結べるシューズ） / holographic image of shark（サメの立体ホログラム） / size adjusting jacket（自動サイズ調整式のジャケット） / hydrator（小さな乾燥ピザを瞬時15インチに大きくできる調理器） / multi-screen TV（同時にいくつかの番組が見られるテレビ） / Your shoe's unvelked.（靴のマジックテープがとれてるぞ）・・・など意味の想像がつく未来造語が楽しい。bojo（← bozo バカな奴） / tranked（← tank 大酒飲み） / scuzball（← scuzz 嫌われ者）などの未来版の俗語表現も登場する。
　現在、過去、未来とめまぐるしく時空を移動する主人公たちの会話には、前作同様に時代のずれをネタにしたジョークが使われており、このシリーズならではの笑いを誘う。未来のデロリアンは、バナナの皮やビールを動力エネルギーに変換する“Mr. Fusion Home Energy Reactor”という装置を搭載している。マーティーたちが未来に到着したときは雨が土砂降りだった。ところが天気予報に一秒違わず、雨がピタッと止む場面で、ドクは“Too bad the post office isn't as efficient as the weather service.”（郵便局も気象庁と同じぐらい正確な仕事をしてくれればね）と言うよころや、“All kids in the future wear their pants inside out.”（未来の子供たちはみんな、ズボンを裏返しに穿いてるんだ）・・・”と言ってるのもおかしい。Michael Jackson の歌う“Beat It”がオールディーズになっていて、シカゴ・カブスがワールドシリーズで優勝するという奇跡も起こってしまう。映画後半の年鑑奪回の場面は、“Something very familiar about all this.”（前にこれと同じような事があったなあ、というビフ老人の言葉）に象徴される、いわゆる deja vu の連続である。
　ドクはヒルバレーが悲惨な様変わりをするのを、あたかも予知していたかのようにマーティーに語る・・・“I'm gonna destroy the time machine! ...You can imagine the danger if the time machine were to fall into the wrong hands!”（私はタイムマシンを壊すつもりだ・・・中略・・・タイムマシンが悪い人間の手に渡ったらどれほど危険な事になるか分かるだろう）が宇宙の摂理に対する畏敬の念の大切さを訴えている。

[ Listening Ability Evaluation ]
スクリーンプレイ編集部の「リスニング難易度」評価一覧表）

評価項目 易しい → 難しい
・会話スピード
1 2 3 4
・発音の明瞭さ
1 2 3 4
・アメリカ訛
1 2 3 4
・外国訛
1 2 3 4
・語彙
1 2 3 4
・専門用語
1 2 3 4
・ジョーク
1 2 3 4
・スラング
1 2 3 4
・文法
1 2 3 4
合　計 14点

( 14以下 = Beginner, 15-18 = Intermediate, 19-22 = Advanced, 23以上 = Professional )