ブラック・レイン
BLACK RAIN



原作シナリオ CRAIG BOLOTIN/WARREN LEWIS
編集 池下裕次/KIM A. LUTZ
A5版 136頁 ISBN-4-89407-023-5
本体価格=1,200円(税別)
1994年(平成6年)9月20日 初版発行


夭逝した松田優作が、ハリウッド映画で主役級の悪役を演じた、リドリー・スコット監督のアクション大作。これが大阪の街? と思わせる、スコット監督の技法にはうならされる。 松田優作ファンは必見。英語は比較的難しい。

書 籍 紹 介
 
映 画 紹 介
書 名 スクリーンプレイ
「BLACK RAIN
    ブラック レイン」
製 作 1989年
編 集 池下 裕次 会 社 PARAMOUNT PICTURES
仕 様 A5版、102ページ 監 督 RIDLEY SCOTT
発行日

1994年9月20

脚 本 CRAIG BOLOTIN
WARREN LEWIS
出版社 株式会社 スクリーンプレイ 出 演
MICHAEL DOUGLAS
定 価 本体1,200円(税別) KEN TAKAKURA
ISBN 4-89407-023-5 ANDY GARCIA

 

■この映画のストーリー

 最近離婚したばかりのNY市警の殺人課の刑事ニックは汚職疑惑の取り調べを受け歯がゆい思いをしていた。若いが気のいい相棒のチャーリーとレストランで昼食をとっていると、突然乱入してきた日本人によりニック達の目の前で人殺しが行われる。必死の追跡の結果、犯人のジャパニーズヤクザ佐藤を逮捕するが、日本大使館員の要請で、佐藤を日本に送り返すことを余儀なくされる。しかたなく大阪へと佐藤を護送するニックとチャーリー。空港に着き、出迎えに来た刑事に佐藤を引き渡すことになっていたが、なんとそれは偽警官で、チャーリー達はまんまと騙されて佐藤を引き渡してしまった。地元警察の松本警部補と佐藤を捜すことになった二人だが、それをあざ笑うかのように佐藤による殺しがまた行われる。組織で動くことを重視する松本からは何の情報も得られず、苛立ちの募るニックは、現場にいた魅惑的な女性ジョイスから佐藤が昔の彼の親分・菅井との抗争中にあることを聞き出す。翌日、タレこみから佐藤のアジトらしき場所に潜入し、ニックはそこから紙幣を持ち出した。彼はそれが偽札であることを見抜いたからだ。しかし、それを目撃した松本は彼が金を盗んだと思い上司に報告し、彼らの不和が強まる。松本は、ニックの目的が偽札にあったことを知って気まずい思いでいたが、そこは陽気なチャーリー、喧嘩するよりも楽しくしたい彼は、松本と一緒に騒いで、そのことを吹き飛ばしてしまった。これで捜査がはかどると思った矢先、ほんの少しの油断からチャーリーは佐藤の罠にかかり、ニックの目の前で殺されてしまう。怒りに燃えるニックに今度ばかりは賛同する松本。共に単独捜査を開始、殺人現場のバーにいたスパンコールの女が鍵を握っていると判断した彼らは、その女性の後を尾け、とうとう佐藤を見つけ出して追跡する。が、ニックが銃を使ってしまい、地元警察に止められて佐藤には逃げられるし、ニックはアメリカへと強制送還となってしまう。飛行機にむりやり乗せられるが、それでは気の済まないニックは見張りの隙をついて逃げ出し、最後の戦いへと向かう。
 ニックは松本のカタブツさに初めは辟易するが、こういった日本人が持つカタさも、アメリカ人の柔軟さも必要であり、結局この二人は互いにない部分を刺激しあって調和がとれていく。現在の日米関係もこうあって欲しいものだ。また今までよくあった日本が登場する映画と違い、非常に日本についての描写がよくできている映画である。どうしても日本というとサムライ、ニンジャといったイメージが強く、実際地方に住むアメリカ人など日本人はチョンマゲをしていると思う人もいるようだ。確かに、我々がアメリカの地方には13日の金曜日に出てくるジェイソンみたいなのがいると思うのと同じようなことではあるが…

■この映画の英語について

 ニックとチャーリーは標準英語で、会話スピードも速くなく、専門用語もほとんどない。刑事ということで俗語・卑語を絡めた'ニークな言い回しが多く、それが会話のリズムを作り出している。チャーリーが普通なら "Wait a second.”「待ってろ」で済むのを "Grab your dick and count to infinity." と言ったりするのは非常におかしい。ニックの "Man power control, my ass."「人員管理がなんだってんだ」も日本語にはない言い方だ。特にニックは ass が好きなようで "Until you sign off on this dickhead, his ass is mine."「あんたが奴を身請けするまでは俺の獲物だ」や、"...can find his ass with two hands."「問題に対処できる」など、多種多彩に用いている。こういった俗語を使える必要はないが、よく出てくる表現なので覚えておけば、英語をさらに理解できるようになるだろう。
 常に上司の命令に従う松本と、自由奔放なニックの会話が実に面白い。ついに二人が頭にきて、まず松本が "Perhaps you should think less of youself and more of your group. Try to work like a Japanese."「もう少し自分のことを考えずに仲間のことを考えるべきだ。日本人のように仕事をするようにしろ」と言えば、ニックも "And if there was one of you guys who had an original idea, you'd be so tight, you couldn't even pull it out of your ass."「もし新しいアイデアがあっても、そんなにカタブツにしてるから自分の殻に閉じ込もるんだ」と言い返す。これがチャーリーの死後、両者に変化がみられる。ニックが実は汚職してたということに松本が "If you steal, you disgrace him. And yourself. And me."「君が盗みをすることは彼を汚すことにもなる。君自身も汚す。そして私もだ」と言うと、それまでは "It's no big deal."「大したことじゃない」と言っていたニックに変化をもたらす。またニックに "Sometimes, you gotta go for it."「人にはやらなきゃならない時もある」と言われた松本も最後に "But sometimes, you have to go for it."と言ってニックを助ける。こういった彼らの言葉の対比は日本とアメリカを反映しているようで、感慨深い。
 冒頭でチャーリーがニックに言った言葉が最後の場面でニックが松本に言う。これがカッコいいのでこの言葉で締めくくろう。 "You watch your tail, cowboy."「気をつけてな、カウボーイ」

■目次

1. 背広野郎 An Interrogation ……………… 7
2. スカラリ Nine-One-One ……………… 17
3. 大阪府警 The Deception ……………… 25
4. クラブ・ミヤコ Club Miyako ……………… 37
5. ニセ札抗争 A Counterfeiting War ……………… 51
6. チャーリー A Deadly Mistake ……………… 63
7. スパンコールの女 Sequins ……………… 68
8. 強制送還 Deportation ……………… 77
9. ガイジンさん A Worthless Gaijin ……………… 85
10. 最終対決 Nick vs Sato ……………… 91

■コラム

リドリー・スコット監督 ……………… 35
出演者紹介(1) ……………… 60
出演者紹介(2) ……………… 95
Hold it! ……………… 110

■リスニング難易度

評価項目 易しい → 難しい
・会話スピード
1 2 3 4 5
・発音の明瞭さ
1 2 3 4 5
・アメリカ訛
1 2 3 4 5
・外国訛
1 2 3 4 5
・語彙
1 2 3 4 5
・専門用語
1 2 3 4 5
・ジョーク
1 2 3 4 5
・スラング
1 2 3 4 5
・文法
1 2 3 4 5
合 計 21点

( 16以下 = Beginner, 17-24 = Intermediate, 25-34 = Advanced, 35以上 = Professional )