フラッシュダンス
FLASH DANCE



翻訳・解説 新田晴彦
編集 池下裕次/KIM A. LUTZ
A5版 136頁 ISBN-4-89407-025-1
本体価格=1,200円(税別)
1994年(平成6年)11月15日 初版発行


昼は溶接工の仕事をしながら、ダンサーへの夢を追い続ける少女の挑戦と恋愛を描いた青春映画。ダンスシーンは一見の価値あり。話されているのはややイギリスよりの標準英語。

書 籍 紹 介
 
映 画 紹 介
書 名 スクリーンプレイ
「FLASH DANCE
    フラッシュダンス」
製 作 1983年
監 修 新田 晴彦 会 社 PARAMOUNT PICTURES
仕 様 A5版、98ページ 監 督 ADRIAN LYNE
発行日

1994年11月15

脚 本 TOM HEDLEY
JOE ESZTERHAS
出版社 株式会社 スクリーンプレイ 出 演
JENNIFER BEALS
定 価 本体1,200円(税別) MICHAEL NOURI
ISBN 4-89407-025-1 BELINDA BAUER

 

■この映画のストーリー

 アニメの声優ダニエルはいろんな声を自由に操る豊かな才能に恵まれてはいるものの、融通のきかない頑固一徹なコチコチ男。そんなことから、またしても仕事中にディレクターと些細なことで衝突し、即刻クビだ。とは云え、根っからの楽天的な彼、これ幸いとばかりにスタジオを飛び出したその足で、三人の可愛い炸裂するリズムと音楽、目眩を感じさせそうなスポットライト、淀んだ空気を肺にいっぱいに吸い込んで少女は踊る。生きる証を求めて溶接工は踊る。
 しかし、彼女がどのような踊りを披露したところでナイトクラブの客が見ているものは女の肉体だけ。
 アレックスは多感な18才の女の子、情熱をダンスにそそぎ、夢はいつの日かプリマドンナになること。しかし、バレエのレッスンを受けたことのない彼女は自信がなくバレエ団のオーディションにさえ申し込めないでいる。昼は製鉄工場で溶接工として働き、夜はナイトクラブで踊る。
 踊りが唯一の生きがいのはずなのに、踊りながら消えてしまいたいと思う、踊りを人に見られるのが恥ずかしいと思う…複雑な感情を胸に、やがて、彼女の踊りは狂気すれすれの段階にまで達していく。
 クラブで彼女を見て、ひと目で彼女に魅せられてしまった男性がいた。彼の名前はニック・ハーレー、偶然にも彼女が働く製鉄工場の社長だった。ニックにはアレックスの傷つき易い心を優しく包み込む人間的大きさと人生経験があった。年齢と住む世界の違いを乗り越えてふたりが恋に落ちるのにさほどの時間は必要なかった。
 アレックスはニックの応援を受けてバレエのオーディションに臨んだ。彼女の踊りは型破りでとてもバレエと呼べる代物ではなかった。バレエにストリートダンスを取り入れた独創的な踊りに審査員たちは仰天してしまう。初めは難色を示していた審査員たちではあったが、いつしかアレックスの世界に引きずり込まれていく。
 素晴らしい音楽がちりばめられ、登場人物たちが繰り広げる踊りはどの人をとりあげても驚異的というしかない。音楽と踊り、青春の夢と挫折、そして恋…。 公開当時、世界中の若者から圧倒的な支持を受けた映画、10年経過した現在でもその人気は衰えていない。

■この映画の英語について

 挿入される歌が12もあり、さしずめミュージカルのような映画と言える。ストーリーをダンスと音楽と絵柄で伝える方に重点があり、言葉は必要最小限に抑えられている、そのためダイアログが多くない。会話には難しい単語も言い回しも、そして大げさな表現も登場せず、会話スピードは普通で標準米語。まさに等身大の英語と言える。
 プロットは社会の底で悩み傷つく人々を中心に置いてあるため、使用をひかえた方がいいと思われる表現が時折見られる。しかし、現代英語、特に現代映画では、この程度のスラングと感情が高ぶった時に挿入するスエアリング・ワード(罵倒・冒涜・軽蔑語)は当前のように使われており、この程度であれば使用の際に気をつけさえすれば、逆に知っていなければならないと思われる。知らないと、相手が興奮しているのか自分が馬鹿にされているのか、そのあたりが不明になる。
 コメデイアンをめざすリッチーがあまり品の良くないジョークを連発するが、これは英語の問題ではなく背景知識の問題であるので、コラムの形で解説をそちらに譲った。ユーモアを重視するアメリカ社会ではジョークは欠かせない。リッチーが発するジョークは別に彼独自の発案になるものでも、独創的なものでもない。彼の言うジョークは、アメリカ人なら、おそらくほとんどの人が承知しているであろう。本映画でも誰も笑わない。ジョークの間に発したユーモアのある話しの方がウケている。使い古されたジョークではあっても英語のジョークのパターンを学習するには有益なので無視せず注意を払って欲しい。表現は違えど、パターンが同じというジョークに接した時に役に立つ。
 また、リッチーほどはっきりとジョークの形はとっていなくても、登場人物が時折ユーモアのあるやりとりを行う。これは臨機応変に会話の流れで姿を変え定型というものがない。本当に学ぶべき呼吸はここにある。そのあたりは解説していないので、自分で探しだしじっくりと味わって欲しい。

■目次

1. ダンス The Dancer ……………… 7
2. 夢中 Infatuation ……………… 16
3. バレエ団 The Repertory Company ……………… 22
4. ワークアウト Working Out ……………… 32
5. コメディアン Cook or Comedian ……………… 38
6. デート A Date ……………… 48
7. 夢を追い求めて Searching For A Dream ……………… 57
8. 失恋 A broken Heart ……………… 64
9. 申請 The Application ……………… 74
10. 秘めた涙 Silent Tears ……………… 88

■コラム

人種ジョーク1 ……………… 47
人種ジョーク2 ……………… 73
人種ジョーク3 ……………… 87

■リスニング難易度

評価項目 易しい → 難しい
・会話スピード
1 2 3 4 5
・発音の明瞭さ
1 2 3 4 5
・アメリカ訛
1 2 3 4 5
・外国訛
1 2 3 4 5
・語彙
1 2 3 4 5
・専門用語
1 2 3 4 5
・ジョーク
1 2 3 4 5
・スラング
1 2 3 4 5
・文法
1 2 3 4 5
合 計 16点

( 16以下 = Beginner, 17-24 = Intermediate, 25-34 = Advanced, 35以上 = Professional )