メイド・イン・マンハッタン
MAID IN MANHATTAN



英文構成 株式会社スクリーンプレイ
編集 椎原寛基/WILLIAM NIXON
A5版、168頁 ISBN-4-89407-338-2
本体価格=1,200円(税別)
2003年(平成15年)6月 初版発行

映画公式サイト

マリッサは、マンハッタンの一流ホテルでメイドとして働いている自立したシングルマザー。そのホテルにハンサムで前途有望な政治家、クリストファーがやってきて、彼女をホテルのゲストと勘違い。偶然が偶然を呼び、ふたりは恋におちてしまう。出逢うはずのなかった身分の違いすぎるふたりの恋の行方は・・・。

書 籍 紹 介
 
映 画 紹 介
書 名 スクリーンプレイ
「MAID IN MANHATTAN
 メイド・イン・マンハッタン」
製 作 2002年
編 集 椎原 寛基 会 社 UIP
仕 様 A5版、168ページ 監 督 WAYNE WANG
発行日 2003年6月4日 脚 本 KEVIN WADE
出版社 株式会社 スクリーンプレイ 出 演
JENNIFER LOPEZ
定 価 本体1,200円(税別) RALPH FIENNES
ISBN 4-89407-338-2 NATASHA RICHARDSON


■この映画のストーリー

 マンハッタンの五ツ星ホテル、べレスフォードで客室係として働くマリサ・ベンチュラは、一人息子のタイを愛情いっぱいに育てながらも、仕事には常に高いプロ意識をもって働くシングルマザー。毎朝タイをブロンクスの学校にバスで送ったあとは、地下鉄に乗って仕事場に向かうあわただしい毎日を送っている。その日は金曜日、学校の行事で大統領のスピーチがある。好奇心旺盛で10歳とは思えない高い能力を示すタイは、ひと夏を費やしてニクソン元大統領についての立派なスピーチを仕上げていた。人前で話すことが苦手で弱気になっている息子を力いっぱい励まして「必ず見にくるからね」といって送り出す。
 その日朝のミーティングで重要な発表があった。空席になっている副支配人のポストを、現場内のスタッフから選ぶというのだ。本来なら管理職に一番近い職種のバトラーが適任だろう。しかしマリサの親友ステフが、メイドも申し込む資格があると確認し、マリサに応募してみるよう強く勧める。いつかはメイドの制服を脱ぎ捨てて管理職になろう、そんな夢を語っていたマリサだったが、いざチャンスを目の前にするとふと頭の中をよぎる思い。「これまで必死になって築き上げた生活を失ってしまうのではないか。私は分不相応にも、かなわない夢を描いているだけなのではないか」 思いやりがあって仲間からの信望が厚いマリサこそ副支配人に適任だと、ステフは励ますが、忙しい業務の中で深く考える余裕はなかった。
 超一流のホテルにふさわしく、宿泊客もまたVIPぞろいだ。この日もサザビーズの役員で社交界のプレイガールともうわさされるキャロライン・レーン、政界の名門一家の出身で州議会議員のクリス・マーシャルがチェックインする。まるで軍隊のようにきびきびした動作で仕事を進めていくホテルの従業員たち。ゲストの好みを把握し、要望にはなんでも先回りして答えていこうとするプロの仕事だ。マリサは3時に早退して母親のベロニカとともに、スピーチ会場の学校へと急ぐ。
 タイの父親で、すでに離婚した元夫のマーカスもスピーチを見に来てそのあとは、キャンプの約束もしていた。しかし直前になってすっぽかしの連絡が入る。今まで何度もあることだったが、そのたびにタイに嘘をついてとりつくろうことがマリサにはつらかった。息子のスピーチに何とか間に合ったマリサとベロニカだが、ステージ上のタイは緊張のあまり言葉に詰まり、笑い声が聞こえたことから一気に自信を失い、スピーチを放棄してステージを降りてしまう。
 翌日の土曜日、マリサはタイを連れて出勤する。従業員室にタイを預けて、仕事に取りかかるマリサ。息子に対して申し訳ないことをしているようで、表情は暗い。そんなマリサに「もっと気楽になって、あなた自身が楽しみをみつけなさい」と友達は言ってくれるが、今はそんな気にはなれそうにない。ステフとペアでパーク・スイートの掃除をしていると、ステフは返品を頼まれたスーツを見つけ、マリサに無理やり試着させようとする。
 ちょうど同じ頃。選挙の遊説目的でホテルに宿泊していたクリスは、話題になることなら何でも選挙広報に利用しようとする選挙参謀のジェリーにうるさく指示をされ、外では始終パパラッチに追われる毎日に疲れと苛立ちを感じ、気分を変えようとペット犬のルーファスを連れて散歩に行こうとしていた。そのとき、退屈のあまりホテル内を探検していたタイと、エレベーターの中で偶然出会う。少し言葉を交わしただけで、タイと心はつながり、一緒に散歩に出かけることになった。
 マリサがステフのしつこさに根負けして、高級スーツを身にまとっているときに、タイに続いてクリスが部屋に訪れた。見事に着こなしている彼女の美しさに一瞬にして魅了されたクリスは、彼女をホテルのゲストと勘違いしたまま散歩に誘う。宿泊客の服を勝手に着ていることがバレてしまったら大変なことになる。ついその場を切り抜けるために、彼女は「キャロライン」になりすまして、一緒に散歩に出かけることを了承したのだった。   セントラルパークの秋は美しい。2人は一瞬、それぞれがおかれた状況を忘れ、安らぎを感じる。政治的な問題にも率直に自分の意見を述べるマリサは、クリスにとって新鮮だった。
 夢のような散歩から戻ったクリスは、早速「キャロライン」にランチへの招待状を書き、バトラーのライオネルに部屋に届けるよう頼む。一方、支配人のオフィスに呼ばれたマリサは、自分が副支配人候補の筆頭に上げられていると突然知らされる。ステフが応募用紙を勝手に出していたらしい。心の準備が整っていないまま、ライオネル研修の下で実地訓練を受けることになった。そしてその最初の実地テストが、クリスと本当の「キャロライン」のランチになってしまった・・・
 かたやホテルのメイド、かたや政界のサラブレッドで上院議員候補。社会的な立場は違えども、未知の世界に踏みだそうとして、自信を失ったり、不安を感じてしまう一人の人間であることに違いはない。飾りを脱ぎ捨てたときに、お互いが相手に、自分に無いものを見つけ、惹かれあう。このラブロマンスは、「美しいけれども運命に見放されたお姫さまが、魔法の力でしあわせになる」・・・よくあるそういったパターンのシンデレラ・ストーリーとは趣が異なる。地道ながらも与えられた仕事を誠実にこなし、着実にステップアップを目指しながら明日を信じてたくましく生きるマリサは、観客席側の我々にも、勇気と希望を与えてくれる。
椎原 寛基

■この映画の英語について

■ さて、まず映画のタイトルから。 Maid in Manhattan は Maid in Japan (日本製)と同じで「マンハッタン製」という意味と、「マンハッタンのメイド(客室係)」をかけたダブル・ミーニング(double meaning)です。1つの言葉に2つ以上の意味を持たせることで、このほかにも、Gold Member、Good will Hunting など映画タイトルでダブル・ミ−ニングが使われることはよくあります。
■ 聞き取りのポイント マリサは抑揚が大きくちょっと早口なニューヨーク訛りで話すので、簡単な単語を発音していても聞き取りが難しいかもしれません。よく使われる I mean、You know what、You know what I mean がどんなニュアンスで使われているか確認して、耳を馴らしておくと、その他のセリフを聞き取るときに余裕ができます。
■ 落ち込み気味なときに背中をポンと叩いて励ましてくれるセリフもいっぱい。仕事に子育てに一生懸命すぎるあまり、無理を抱え込んでしまいがちなマリサを、仲間が励ますシーンで。 You on the other hand, you need to loosen up. (それより、あなたはもっと自分を解放しなさい) We need some fun in our lives. You know, be spontaneous, kick up our skirts. The expression is "heels."(「人生には楽しみも必要よ。ね、自然体でいきなさい、スカートを蹴り上げてさ」「それを言うなら『かかと』でしょ」) You live only once. (人生は1度きりよ) Live it, girl. I'm living. I'm living. (楽しみなさい、私は生きている。私は生きている)
■ こんな格言を会話に挿入できたら素敵ですね。 When life shuts one door, it opens a window. So jump. (人生においては1つのドアが閉じると、1つの窓が開くものだ。飛んでみなさい)
■ 生涯をホテルにささげてきた仕事一徹のバトラーだったからこそ、重みを持つセリフですが、仕事で迷ったときにこんなセリフを思い出すと、悩みのタネなんてすぐ消えてしまいそう。 (→p.142 ライオネルのセリフより) And although we serve them, we are not their servants. What we do, Miss Ventura, does not define who we are. What defines us is how well we rise after falling. I think you'll make a wonderful manager someday. And it's been my great honor to have worked with you. (我々は仕えはするが、召し使いではない。ミズ・べンチュラ、職業が私たちを何者かであるか決定するのではない。私たちを決定するのは、失敗からどのように立ち上がるかだ。君はいつの日か立派なマネージャーになるだろう。そしてキミと一緒に働いたことを光栄に思う)
  老兵は去り行くのみ。引き際も見事です。

■目次

1. Beresford Hotel ベレスフォード・ホテル ……………… 8
2. Playboy&Goddess プレイボーイと女神 ……………… 24
3. Ty's Speech タイのスピーチ ……………… 42
4. Walk in the Park 公園で散歩 ……………… 58
5. The Zoo 動物園 ……………… 74
6. Management Program 管理職プログラム ……………… 86
7. Luncheon a Deux ふたりでランチを ……………… 104
8. I'm Coming Out ほんとうの私 ……………… 120
9. The Truth 真実 ……………… 136
10. A Second Chance 2度目のチャンス ……………… 148

■コラム

『メイド・イン・マンハッタン』について ……………… 134
プエルトリカン ……………… 164

■リスニング難易度

評価項目 易しい → 難しい
・会話スピード
1 2 3 4 5
・発音の明瞭さ
1 2 3 4 5
・アメリカ訛
1 2 3 4 5
・外国訛
1 2 3 4 5
・語彙
1 2 3 4 5
・専門用語
1 2 3 4 5
・ジョーク
1 2 3 4 5
・スラング
1 2 3 4 5
・文法
1 2 3 4 5
合 計

( 16以下 = Beginner, 17-24 = Intermediate, 25-34 = Advanced, 35以上 = Professional )