■この映画のストーリー
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西部開拓時代、町を渡り歩く凄腕ギャンブラーのブレット・マーヴェリックはセントルイスで開かれる賞金が破格の50万ドルのポーカー大会に出場しようとしているが、これまた破格の参加費2万5千ドルに3千ドル足らない。そこで友人に貸した借金の取立にクリスタル・リヴァーの町へと足を運び、酒場でひと稼ぎとポーカーのテーブルに着くと、自称人妻の妖しい魅力を持つアナベル・ブランスフォードに出会う。拳銃使いやならず者に喧嘩を売られても、銃の早抜きとハッタリであっさりこれを一蹴。そんな彼にシビれたアナベルはその夜マーヴェリックを訪れるが、実は隙を伺い財布を狙う女スリ。しかし、マーヴェリックの鋭い目はごまかせず逆に彼の幸運のシャツを洗わせられる羽目に。
翌朝、目的の銀行に勤める友人に借金を取立に行くが銀行強盗に会い結局借金は取り返せず、仕方なくホテルに戻ると、幸運のシャツが縮んでいる。逃げるアナベルを追いかけ文句を浴びせていると、これまたどこか胡散臭い自称保安官ゼーン・クーパーが登場。結局この三人で旅をする事になるが、いきなり三人を乗せた馬車の御者が死んで馬車が暴走し、これを何とかくい止めると、次はインディアンに襲われた荷馬車隊に遭遇。奪われた金を取り返えすと謝礼にその一割3千ドルを頂ける事になり、張り切って成敗に行くと、犯人はマーヴェリックの予想通り、偽インディアンであった。彼らを目にも止まらぬ早撃ちで片付けるが、哀れな荷馬車隊から謝礼を受け取らずカッコよく決めていると、今度は本物のインディアンが登場。ところが実はそのリーダー・ジョセフとは古くからの知り合いで千ドルの貸しもあるので、ひと芝居うってアナベルやクーパーと別れインディアンの部落を訪れる。また予想通りジョセフも金がないのでロシアの大公をペテンにかけ金を巻き上げる事に成功するが、それでもまだ2万5千ドルに足らない。もう大会の開催まで時間もないので、とりあえずセントルイスの会場へと向かうと、あのロシア大公がいるのでもう一度ペテンにかけ、ようやく参加費を手に入れ、そして世紀のポーカー大会が始まった。
配役が最高にいい。メル・ギブソンの飄々とした態度はマーヴェリックにピッタリだし、ジョディ・フォスーターもこれまではシリアスな役どころが多かったが、妖しげなスリ役を面白く演出している。メルとリチャード・ドナー(リーサル・ウエポンで組んでいる)監督であって、その辺のジョークも盛り込まれている。これは'60年前後の大ヒットテレビドラマ「マーヴェリック」の映画版であるが、当時の主人公ジェームズ・ガーナーが、保安官役クーパーなのもうまくはまっている。
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■この映画の英語について
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全体的に理解しやすい英語である。卑語・俗語も時代がら複雑なものもなく、単語・文法も一般英会話の範囲にとどまっている。表現が非常にきれいなものが多く聞き取りは比較的たやすい。ジョークもストレートなものが多く十分に笑えるのだが、ダブルミーニングを使ったさらに細かいジョークがあり、この辺は少し我々には難しく字幕では表せないので、これが理解できればこの映画をさらに楽しむことができる。またロシア大公やインディアンのジョセフにネイティブではない訛りが少しあるが、それが聞き取りを難しくしているのではなく、逆に英語がうまく話せない振りをする時の話し方を最高に面白くしている。ポーカー用語も少し登場するが、こちらはポーカーのルールとまとめてコラム欄に記載してあるのでご参照頂きたい。
とにかくマーヴェリックとアナベルの話し方が非常に面白いので取り上げてみよう。
冒頭でアナベルがポーカーをしているテーブルに入ろうとするマーヴェリックが "Is this seat taken?"(この席に誰かいる)と聞くと、普通、空いていれば
"No."(いいえ)と返すものだが、アナベルは "It is now." つまりこの後に "by you" が省略され、(ええ、あなたがね)と凝った言い回しをする。これが彼女の表現を魅力的にし、淑女をイメージさせる。他の場面でも保安官クーパーに
"What would this world come to without true gentlemen like yourself?"(この世もあなたのような紳士がいるからこそよ)と言うのも反語的に表現して色気を漂わす。また鼻に掛かったような彼女の南部訛りも
"Most gentlemen enjoy my southern."(多くの男があたしの南部訛りが好きなの)と自分で言うように最高にかわいい。
マーヴェリックはどんな状況でも軽口を絶やさず、憎めないダンディさを醸し出している。アナベルが、マーヴェリックの部屋を訪れて、"I
shouldn't be doing this."(こんなこといけないわ)と意味ありげな言葉を言ってもマーヴェリックは、"Well,
you're just satanding in the hallway, Mrs. Bransford. I think that's
still legal in this state."(いや、ただ廊下に立ってるだけだよ、ミセス・ブランスフォード。それはこの州では違法じゃない)と、とぼけた返答で全編を通してこの雰囲気を絶やさない。またテレビシリーズの時でも口癖だった、"My
old pappy always used say, he who fights and runs away can run away
another day."(おれの親父がいつも言ってた、逃げるが勝ちって)の「おれの親父が」のフレーズも度々登場するのは、昔を知るものにとって応えられない味付けである。
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■目次
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1. |
クリスタル・リバー |
A Crystal River Brawl |
……………… |
7 |
2. |
銀行強盗 |
Bank Robbery |
……………… |
19 |
3. |
駅馬車 |
Stage Coach Perils |
……………… |
32 |
4. |
ウェディングドレス |
The Wedding Dress Thieves |
……………… |
44 |
5. |
ジョセフ |
An Indian Bravery Test |
……………… |
61 |
6. |
ロシア大公 |
The Archduke |
……………… |
73 |
7. |
リヴァーボート |
The Lauren Belle |
……………… |
81 |
8. |
ポーカー大会 |
Winners, Losers and Swimmers |
……………… |
88 |
9. |
決勝 |
A Royal Flush |
……………… |
96 |
10. |
どんでん返し |
Double-Double Crossed |
……………… |
107 |
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■コラム
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ドローポーカー |
……………… |
31 |
ポーカーの手役 |
……………… |
80 |
西部について |
……………… |
106 |
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■リスニング難易度
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評価項目
| 易しい → 難しい
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・会話スピード
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・発音の明瞭さ
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・アメリカ訛
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・外国訛
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・語彙
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・専門用語
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・ジョーク
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・スラング
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・文法
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合 計 |
18点 |
( 16以下 = Beginner, 17-24 = Intermediate, 25-34 =
Advanced, 35以上 = Professional )
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