推定無罪
PRESUMED INNOCENT



原作シナリオ FRANK PIERSON/ALAN J. PAKULA
編集 株式会社スクリーンプレイ編集部
A5版 106頁 ISBN-4-89407-014-6
本体価格=1,200円(税別)
1994年(平成6年)7月5日 初版発行


検事のラスティは、同僚であり、愛人でもあった女性の殺害に関与したとして起訴される。最後まで気の抜けないサスペンス映画。法廷英語が登場するので、英語はやや難しい。

書 籍 紹 介
 
映 画 紹 介
書 名 スクリーンプレイ
「PRESUMED INNOCENT
          推定無罪」
製 作 1990年
会 社 WARNER BROS.
仕 様 A5版、106ページ 監 督 ALAN J. PAKULA
発行日

1994年7月5

脚 本 FRANK PIERSON
ALAN J. PAKULA
出版社 株式会社 スクリーンプレイ 出 演
HARRISON FORD
定 価 本体1,200円(税別) BRIAN DENNEHY
ISBN 4-89407-014-6 PAUL JULIA

 

■この映画のストーリー

 「昨夜キャロリンが殺害された」
 キンドル郡の地方検事局主席検事補、ロザット・K・サビッチ、通称ラスティは出勤早々、地方検事のレイモンドから衝撃的なニュースを聞かされた。時は地方検事選挙戦の真っ最中、部下の検事が殺されたとあっては選挙結果に悪影響を及ぼす。レイモンドは投票日までに犯人をあげろとラスティに命令し、ラスティは悲しむ暇もなく捜査を開始する。
 キャロリンによって刑務所に送られた犯罪者の逆恨みと推定、ラスティは容疑者を絞るため彼女が担当していた事件を調べる。同時に、現場に残されていた証拠を分析させた。捜査が進むに従って事態は意外な方向へと向う。証拠分析の結果はことごとく犯人はラスティであることを示し、捜査の段階で発した指示が証拠を覆い隠すものと理解された。ラスティは自分を犯人とするための捜査を行なっているのであろうか?
 キャロリンの担当事件の中で紛失している事件ファイルが発見された。調べると、それは現在選挙戦を闘う政敵の汚職を匂わすものだった。ラスティがこのことを発見した矢先に選挙は惨敗に終わり、レイモンドとラスティは職を追われることになる。
 職を政敵に明け渡して間もなく、政敵は、その時を待っていたかのようにラスティをキャロリンの殺人罪で起訴した。
 物的証拠はすべてラスティ犯行説の一点に集中する。犯人はラスティなのか、政治的策略なのか、ラスティはこれにどう立ち向かうのか、サスペンスに満ちた法廷劇が展開される。
 起訴する立場の者が起訴されるという斬新な切り口はもとより、権勢欲、出世欲、男と女、腐敗、道徳と様々な人間模様を織り込んで見る者を飽きさせない。  原作者のスコット・トゥローが本作品を執筆したのは現役の検事補時代。通勤列車の中で8年間掛って執筆したという。現役の検事だけあって、いずれの描写も真実味があり、かつ深い。出版後1年もベストセラーを続け、映画化権獲得に至っては出版以前から激烈な競争が展開されたと伝えられている。
 本映画のタイトル「推定無罪」はアメリカの法に対する考え方を理解する上では欠かせない大原則。陪審員制度、法体系などとあわせて、日本と異なる裁判の仕組を映画を通して学べるであろう。

■この映画の英語について

 本映画の主眼は事件・真実の解明を通して人間模様を描くことであるので、性格からして当然、法律、事件、犯罪に関する単語や表現が多くなる。家庭、一般日常という普通の場面であってさえ、それらの会話の中にも日常的でない言葉が混じる。だからと言って、専門的に過ぎるということはなく、これらの言葉も一般日常会話の線上にあるに他ならず、敬遠しないで積極的に挑戦して欲しい。
 また、本映画は他の映画に比べてダイアログが非常に多い。これは言葉を闘わせて初めて成り立つ法廷劇ならではのことである。そしてまさにこの部分こそがドラマを重厚にする。証人を本人の意図せざる方向へ誘導する弁護士の弁論術、陪審をいかに説得させるかの言葉の選び方や念の押し方、言葉の布石、息をつかせぬやり取りの応酬等、緊張感あふれる英語に事欠かない。
 法廷場面では聞き慣れぬ表現が時折登場する。"Oyez, oyez..... Draw near and give your attention and you shall be heard." 意味は本文を参照して頂くとして、これは法廷審理の開始を告げる決り文句。現在のシステムの中で考えるなら文字通りの意味はない。ただ、裁判制度発達の歴史的な遺産としてこうした表現に残っている。他の映画でも裁判の場面になるとこれに類似する表現が使われることがある。一度こうした英語を通過しておけば不可解な表現に首を傾げることもなくなるだろう。それは、審理開始時に前置として使う "May it please the court." などにも同じことが言える。
 また、法廷審理において古典的とも言える構文が多く登場する。"It is fair to say, is it not, that..."、"Does it not follow..."、"Were you not concerned.."、"Is that not true?" などが典型的な例。こうした話し方は通常の会話にはまず登場しない。格調の高さを醸し出す会話術として参考になる。
 格調の高さを表現するのはなにも構文だけに限らない。使われる単語ひとつにもそれが表れる。口語では堅苦しくなるためにわざわざ避ける単語を好んで用いる。そしてそれが法廷独特の雰囲気を作りだす。実直な弁護士のサンディは、法廷の外でもあまり短縮形を使わない。それが彼にとっては普通なのか、彼の人柄なのか、弁護士が日常的に接する犯罪者、また犯罪者と日常的に接する警察官、刑事などの非常に粗野で崩れた言葉使いと比べる時、面白い言葉の世界が見えてくる。

■目次

1. 殺人 A Murder ……………… 7
2. Bファイル The "B"File ……………… 19
3. 調査活動 Footwork ……………… 27
4. 児童虐待 Wendell ……………… 36
5. 告発 Accused ……………… 44
6. 逮捕 Arrested ……………… 53
7. 審理 The Proceedings ……………… 64
8. モルト Molto's case ……………… 78
9. 棄却 The Dismissal ……………… 85
10. 真実 The Truth ……………… 99

■コラム

裁判所機構の違い ……………… 52
ふたつの陪審 ……………… 77
合理的な疑いを越えて ……………… 84
日本と陪審制度 ……………… 104

■リスニング難易度

評価項目 易しい → 難しい
・会話スピード
1 2 3 4 5
・発音の明瞭さ
1 2 3 4 5
・アメリカ訛
1 2 3 4 5
・外国訛
1 2 3 4 5
・語彙
1 2 3 4 5
・専門用語
1 2 3 4 5
・ジョーク
1 2 3 4 5
・スラング
1 2 3 4 5
・文法
1 2 3 4 5
合 計 19点

( 16以下 = Beginner, 17-24 = Intermediate, 25-34 = Advanced, 35以上 = Professional )