フリントストーン
THE FLINTSTONES



監修 曽根田憲三
翻訳・解説 曽根田憲三/及川一美/及川学/吉田雅之/曽根田純子
英文構成 株式会社スクリーンプレイ編集部
編集 池下裕次/KIM A. LUTZ
A5版 104頁 ISBN-4-89407-115-0
本体価格=1,200円(税別)
1995年(平成7年)5月2日 初版発行


TV史上に残る大ヒット娯楽アニメの実写映画化作品。アメリカ人なら誰でも見たことがある作品です。どこか奇妙に現代風な石器時代で、ほのぼのとしたファミリー・コメディが展開されます。英語も、子供向け作品なので非常に簡単です。

書 籍 紹 介
 
映 画 紹 介
書 名 スクリーンプレイ
「THE FLINTSTONES
    フリントストーン」
製 作 1994年
監 修 曽根田 憲三 会 社 UNIVERSAL CITY STUDIOS,INC.
仕 様 A5版、104ページ 監 督 BRIAN LEVANT
発行日

1995年5月2日

脚 本 TOM S. PARKER
JIM JENNEWEIN
STEVEN E. DE SOUDA
出版社 株式会社 スクリーンプレイ 出 演
JOHN GOODMAN
定 価 本体1,200円(税別) ELIZABETH PERKINS
ISBN 4-89407-115-0 RICK MORANIS

 

■この映画のストーリー

 アメリカの平均的な地方都市を思わせるありふれた光景の街ベッドロック。人々は仕事に励み、そして夕方、仕事が終わると家族とドライブインムービーへ出かけて映画を鑑賞したり、仕事仲間とボーリングに興じたりして楽しい人生を送っている。だが、何かが違う。ファミリーレストランはマクドナルドならぬ恐竜肉100%のハンバーグを出すロックドナルドだし、銀行はバンク・オブ・アメリカではなくバンク・オブ・アメロック、おまけにアミューズメント・パークはなんとジュラシックパークなのだ。そう、ここは恐竜を始めとする古代生物たちと人間が共存する石器時代の街だったのである。
 このファンタスティックなパラレルワールド、なんでも揃ったモダンな石器時代の主人 公フレッド・フリントストーンは採石場の現場で働く少々お人好しの労働者。いつものように勤務を終えてわが家へ戻ると、今や遅しと彼の帰りを待ち構えていた妻のウイルマから激しい調子で詰め寄られる。彼らがこれまで節約に節約を重ねて蓄えてきた大事なお金が銀行口座から忽然と消えたというのだ。最初はシラを切っていたものの、その執拗な攻撃にたまりかね、養子を貰うための金が必要な親友のバーニーに貸してやったと白状して一件落着。そんなある日、秘かに悪事の計画を進めていた副社長のクリフ・ヴァンダーケイブが昇進試験を行って新重役を選出すると発表する。いつも義母から能無しとののしられているフレッドは何とか自分の才能を証明して、見返してやろうと積極果敢に試験に挑戦。ところが、小学校五年生を一度ならず経験しているこの男に歯が立つはずもない、案の定解答はまさに悲惨そのもの。このとき、フレッドのお陰で養子を迎え入れることができ、彼にいつしか恩返しをしたいと思っていたバーニーは自分の答案と彼のをこっそり取り替えてやる。採点が行われ、最高点を取ったのがフレッドだと知って驚いたのはクリフと秘書のストーン嬢だけでなかったことは言うまでもない。
 とにかく、この日を境にフレッドの暮らしは一変、首には慣れぬネクタイを絞め、新しいスーツに身を包んで出勤だ。しかも会社に着けば高層ビルの最上階にタイピスト、いや口達者な録音鳥がいる広々としたオフィスが与えられ、セクシーな秘書ストーン嬢がつけられる。夢にさえ思ってもみなかった贅沢な暮らしとバラ色の人生が遂に手に入ったのだ。ところがどっこい、フレッドの重役としての初仕事がナント昇進試験で最低点だった親友のバーニーをクビにするという皮肉な話。このことが原因で二人の友情が壊れるばかりか、悪玉クリフの巧みな罠にまんまとかかり、採石場の近代化と称する怪しげな計画書にサインして労働者全員を解雇したり、挙げ句の果てには会社の金まで横領したとして警察から追われる羽目に.....
 『フリントストーン モダン石器時代』は1984年に『グレムリン』を第一作として発足したスティーブン・スピルバーグが主催するアンブリン・エンターテイメント創立10周年を記念して、アメリカにおける国民的テレビアニメ『原始家族』(The Flintstones, 1960-66)を斬新なアイディアと豊かな遊び心をもって、最新のハイテク技術を駆使して実写映画化した誰もが安心して楽しめる超娯楽大作である。監督は世界的ヒット作『ベートーベン』でお馴染みのブライアン・レバント、天に向かって拳を突き上げヤバダバドゥーと歓喜の雄叫びを上げるフレッドには、かつてスピルバーグが『オールウェイズ』で組んだことのあるジョン・グッドマンだ。またバーニーには『ゴーストバスターズ』や『ミクロキッズ』などで特異な存在感を見せているリック・モラニス、そして何よりも驚いたことは、そのたぐい稀なる美しさでかつて銀幕の女王ともてはやされたハリウッドの黄金時代を代表するエリザベス・テーラーが、『クリスタル殺人事件』以来実に14年ぶりにスクリーンに姿を見せたことである。
曽根田 憲三 (相模女子大学教授)

■この映画の英語について

 見て楽しく、ストレス解消になり、なおかつ英語が聞いてわかりやすい映画は最近それほど多くはないが、この映画はその数少ない、ありがたい例である。一般にSFものなど、時代設定・場面設定が現実の世界を離れた場合は、地方とか身分によって異なる特殊な言葉使いがあまり表面に出ないため、listening の勉強に利用しやすいことが多い。
 さて、この映画は a modern stone age family の話であるため、珍妙な場面設定で笑わせてくれる。冒頭で石器時代なのに自家用車を走らせている社会に面食らい、しかもそれがガソリンではなく、足で漕いで進む仕組みになっていることを知ると、妙に納得してしまう。一種のパロディとしておおいに楽しもう。
 以下、ことばの面でのパロディを中心にとりあげる。まず、石器時代にちなみ、「石」や「岩」をもじった言葉遊びが多い。重要な脇役である秘書の名前が実在の Sharon Stone で、上司の Cliff と共にアカプルコならぬロカプルコ(Rocapulco)で悠々自適の生活を夢見る。冒頭で Bedrock のラジオ局のコールサインは K-A-V-E(= cave)となっているが、アメリカでは全てのラジオ局のコールサインが K か W で始まることを知っていれば楽しめる。シンデレラやアインシュタイン、マクドナルドや CNN、そして石油会社のシェブロン(Chevron)や化粧品会社のエイボン(Avon) がどう変わっているか、チェックしてみていただきたい。「町をゆるがした大事件」などと言う時も the story that's rocked our city と、さりげなく「岩」をもじっている。
 恐竜にちなんだ言葉も面白い。翼手竜である pterodactyl が出てくるたびにイキな使われ方をしている。「〜ザウルス」が恐竜によくある名前であることを知っていれば、冒頭でFredが子供をあやすことば、Here comes the big daddysaurus! の他にも drunk as skunkosaurus(drunk とskunkは韻を踏む)、そして極めつけの Son of a brachiosaurus! という悪態も爆笑を誘う。最後のキャプションでは動物愛護協会へ向けてのメッセージも忘れない。
 上記の例はことばのもじりであるから、辞書でそのまま確認することはできない。もとが何かを知っていないと、楽しむどころではなくなる。ネイティブではない我々にとり、これは少々深刻な問題でもある。このような方面に強くなりたい方には、ジョークの本をお勧めする。ペーパーバックで手ごろな本を買うと、(マンガを含めて)笑いの要素のかなりの部分を言葉遊びが占めていることに気付くはずである。小さい時になぞなぞをして遊んだ記憶のある人も多いのではないだろうか。我々は母国語を習得する時、実際にはかなり遊んでいるはずである。これを英語に応用しない手はない。同じ辞書を使うにしても、楽しみながら言い回しを覚えた方がよいに決まっている。 神奈川県立外語短期大学専任講師 吉田雅之
吉田 雅之 (神奈川県立外語短期大学専任講師)

■目次

1. 石切り場 The Stone Quarry ……………… 7
2. バムバム Bamm-Bamm ……………… 17
3. 重役昇進計画 The Exective Placement Program ……………… 27
4. フリントストーン副社長 Vice President Flintstone ……………… 36
5. クビ切り Fired ……………… 43
6. 一文無しから大金持ち From Rags to Riches ……………… 55
7. ラブル家の災難 The Rubbles' Troubles ……………… 63
8. 逃亡者フリントストーン Fugitive Flintstone ……………… 72
9. バラしやがって! Sqeeler! ……………… 81
10. 救出大作戦 Rescue ……………… 91

■コラム

恐竜について ……………… 16
恐竜の名前について ……………… 54
Charge it! ……………… 62
No offense to you guys ……………… 80
フリントストーンのおもしろさ ……………… 102
語句解説・・・おまけ ……………… 103

■リスニング難易度

評価項目 易しい → 難しい
・会話スピード
1 2 3 4 5
・発音の明瞭さ
1 2 3 4 5
・アメリカ訛
1 2 3 4 5
・外国訛
1 2 3 4 5
・語彙
1 2 3 4 5
・専門用語
1 2 3 4 5
・ジョーク
1 2 3 4 5
・スラング
1 2 3 4 5
・文法
1 2 3 4 5
合 計 10点

( 16以下 = Beginner, 17-24 = Intermediate, 25-34 = Advanced, 35以上 = Professional )