■この映画のストーリー
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コスタリカ沖の小さな島、ソルナ島にたどり着いたイギリスの家族。昼食の用意をしている間に、その幼い娘、キャシーが島をさまよっていると、小さな動物が茂みから出てくる。愛くるしい様子でせまるその小動物に、親近感を覚えた彼女は手に持っていたサンドイッチを一切れあげる。しかし、一瞬目を離して振り返ると、そこには躍起になって飛び跳ねている無数の小動物が・・・。顔から笑みが消えるキャシー。そして、その小動物、コンピーと呼ばれるまぎれもない恐竜が彼女を襲う。
その事件の後、数年前に恐竜のテーマ・パーク「ジュラシック・パーク」で九死に一生を得た数学者マルカムが、パークの創設者でインジェン社の会長、ジョン・ハモンドに招かれ重大な秘密を聞く。ハモンドによると、ソルナ島にはかつて、「ジュラシック・パーク」に移設する恐竜を育てるサイトBという場所があったというのだ。そこでは死滅したと思われていた恐竜が自ら繁殖し、生き続けていた。ハモンドはその秘密を守り島を保護してきたが、少女が襲われた事件で会長の立場を追いやられ、サイトBも人目にさらされるのは時間の問題となった。世論を納得させ、味方につけることでこの「失われた世界」を守ろうと考えたハモンドは、サイトBにおいて恐竜が完全な生態系をなして生息しているという記録が必要だと考え、調査隊を編成し、その記録を取りに行って欲しいとマルカムに頼む。「ジュラシック・パーク」ですでにこりているマルカムは、依頼を当然断るが、マルカムの恋人であり古生物学者のサラ・ハーディングがすでに島に行ってしまっていた。そこで彼は調査隊としてではなく、救助隊として出発を決意するのであった。
調査隊の他のメンバー、野外装備の専門家エディ・カー、記録係のニック・オーウェンと共にサイトBへ出発し、無事に島でサラと合流。マルカム以外のメンバーはみな恐竜との遭遇に感動する。しかし、思いもかけない出来事が起こった。ハモンドの甥で、インジェン社の現会長ルドローが、サンディエゴに恐竜パークを作る目的で、恐竜の狩猟に来ていたのだ。自然の生態を調査に来ているマルカムたちとは対照的に、荒々しくジープやバイクを乗り回し、恐竜を追い回すルドローの狩猟隊。その姿を見て調査隊メンバーはやりきれない気持ちになる。その夜、サラとニックはルドローのキャンプに忍び込み、捕らわれた恐竜たちを次々と逃がし、大混乱に陥ったキャンプは壊滅する。この時、2人は不用意にもTレックスの子供を助けてしまう。これが悪夢の始まりだった。調査隊は子供を追ってきたTレックスに襲われ、仲間の1人を失い、装備を積んだトレーラーも崖から落とされてしまう。ともにあらゆる通信設備を失った調査隊とルドロー一行は、島から脱出するために島の中心にある通信センターへと向かう。そこには最も危険な恐竜が待っていた・・・。
今回はテーマパークの中の恐竜ではなく、自然の中で育った「野生の恐竜」を扱っているだけあって、「ロスト・ワールド」ではさらにダイナミックに、迫力を増している。また、動物保護のもとに行動するサラたちと、自分の夢を叶えるために強硬な手段も厭わないルドローという対極にある2つのチームの登場によってストーリーはさらに深みが増されている。両者とも自分たちの信念に従って行動しているのだが、それを貫こうとするが故に過ちを犯してしまう。島の環境を守ろうとするサラとニックであるが、Tレックスの子供を助けたことは後に大きなミスとなる。一方ルドローは、本国まで恐竜を連れていこうとして、コントロールしきれずに、やはり失敗してしまう。両者ともに、立ち入ってはいけない境界を越えてしまったのだ。人間の手で触れてはいけない自然。逆らうとそれ以上の力で押しつぶされてしまう。動物保護、環境保護といっても、どこまで人間が関与していいのか。それは単なる人間のエゴに過ぎないのではないか。恐竜が生きていたら・・・という壮大な夢を見せるのと同時に、スピルバーグはこのようなことも我々に警鐘しているのかも知れない。
監督はご存知、Steven Spielberg。「ジュラシックパーク」(Jurassic Park, 1993)から4年ぶりの続編だ。前作に引き続き数学者イアン・マルカムを演じるのは、インデペンデンス・デイ(Independence
Day, 1996)の時の役柄でもそうであったが、皮肉れたインテリ役には最適の俳優 Jeff Goldblum。実際、彼とマルカムは切り離せない存在だったので、キャスティングも彼の出演が決まってから、すべてが始まるほどであった。マルカムの恋人で、少々無鉄砲なところもある古生物学者サラ・ハーディングには、「逃亡者」(The
Fugitive, 1992)の演技を見初められた Julianne Moore が演じ、インジェン社の創始者、ジョン・ハモンドは前作に引き続き、大作「ガンジー」(Gandhi,
1982)で製作・監督をつとめた Richard Attenborough が演じている。 |
二村 優子 |
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■この映画の英語について
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どの映画についても言えることであるが、映画を字幕で理解するのと、英語でそのまま理解するのとでは、面白さは確実に半分以下になるものがほとんどである。その傾向はジョークが分からないと面白くないコメディ映画に顕著に現れるが、映像とストーリーだけで十分楽しめるこの映画も、実は随所にちりばめられた細かいジョーク、皮肉を理解できれば、字幕で見たときとは違う面白さを再発見できる。
特にジェフ・ゴールドブラム演じる数学者イアン・マルカムは口を開けば皮肉を言っているというぐらい皮肉ばかり言っていて、そのセリフは単語だけを見ても意味が分からなかったり、比喩的に使われているものも多いが、スパイスがぴりりと効いた興味深い表現ばかりなので、これが分かるかどうかでこの映画の面白さもずいぶん変わってくる。
その皮肉にはいくつかのパターンがある。まず、逆の意味で言うもの。全然安心していないのに、"I'm so relieved."(ほっとしたよ)、まったくいいと思わずに、"That's
a great idea."(そいつはいい考えだ)、どうせそんなことだろうと思いながら、"What a surprise."(こいつは驚いた)などである。
次によく見られるのが、簡単に言うことが出来るのにわざと回りくどく言って皮肉るパターン。"It's so important to
your future that you not finish your sentence."(その言葉を最後まで言わないことはお前の未来にとっても重要だ。→
いらないことを言うんじゃない、黙ってろ)、"For once in your life, would it kill you to
pick it up?"(人生で一度くらい、電話をとっても死なないだろ。→ 電話に出ろよ)などである。 とにかく皮肉が多く、前作ではその矛先を向けられていたハモンドは
"I really hate that man."(まったく気にくわんヤツだ)と言っていたぐらいである。これらの皮肉を状況、口調から判断できるようになれば、この映画がさらに楽しめるはずである。ただマルカムのセリフはやや早口で、表現も変わっているので難しすぎるかも知れない。そうであれば、ハモンドの演説口調の会話は分かりやすいので、ここから始めるといいだろう。
この映画以外では2度とお目にかからないような専門用語もほんの少しあるが、よく使われるものがほとんどなので、覚えておくと役に立つ。また恐竜の名前は英語と日本語の発音の違いなどに注意してみると面白い。例えば有名な翼竜プテラノドンなどは綴りは
pteranodon なのだが発音は[テラノダン] で完全に語頭の p が発音されないのだ。 |
池下 裕次 |
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■目次
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1. |
The Team |
調査隊 |
……………… |
8 |
2. |
Las Cinco Muertes |
5つの死 |
……………… |
28 |
3. |
Site B |
サイトB |
……………… |
40 |
4. |
The Other Team |
狩猟隊 |
……………… |
60 |
5. |
The Surprise |
驚異 |
……………… |
74 |
6. |
The Rsecue |
救助 |
……………… |
92 |
7. |
The Compys Win |
コンピーの逆襲 |
……………… |
104 |
8. |
Velociraptors |
ヴェロキラプトル |
……………… |
128 |
9. |
San Diego |
サンディエゴ |
……………… |
142 |
10. |
The Bait |
おとり |
……………… |
156 |
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■コラム
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CGとメカニカルの恐竜たち |
……………… |
26 |
恐竜の生きた時代 |
……………… |
58 |
美しい森林 |
……………… |
102 |
Life Will Find A Way |
……………… |
166 |
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■リスニング難易度
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評価項目
| 易しい(1) → 難しい(5)
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・会話スピード
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・発音の明瞭さ
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・アメリカ訛
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・外国訛
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・語彙
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・専門用語
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・ジョーク
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・スラング
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・文法
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合 計 |
22点 |
( 16以下 = Beginner, 17-24 = Intermediate, 25-34 =
Advanced, 35以上 = Professional )
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