■この映画のストーリー
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フランクはアンバランス・チェイサーと呼ばれる交通事故での損害賠償事件を目当てに葬儀場に出入りする酔いどれ弁護士だ。以前コンビを組んでいた老弁護士のミッキーは、フランクに立ち直る機会を与えようと仕事を回してやるが、フランクのあまりのふがいなさに愛想をつかし始めていた。今回ミッキーから回された事件は、カトリック教会経営の大病院で、依頼人の妹が誤った麻酔処置を施され植物人間となった事件だが、金になると思ったフランクはこの依頼を引き受ける。しかし調査を進めていくうちに、権力の前に1人の女性の全てが奪われ、それが闇から闇へと葬られようとしている事に気づき、彼の胸に眠っていた正義の魂を呼び起こす。実はフランクは、エリートの道を歩み、正義のために不正に立ち向かい、大きな権力の前に打ちのめされるといった過去があったのだ。そんな彼の前に現れる美女ローラも彼を勇気づける。
再び権力に対する決意をしたフランクだが、相手側の弁護士は悪魔顔負けの凄腕コンキャノン、また判事もフランクの態度が気に喰わない。それでもなお示談金を蹴ったフランクだが、どうしたことか彼の重要証人が消えてしまう。さらにあげくの果てには依頼人からも三行半をつけられ、フランクは、またしても権力の前に挫折しそうになる。しかし「次の事件なんかない、これなんだ、これしかないんだ」の言葉どうりにフランクは「正義」を追求し最後まで戦い抜く決意をする。弱者は強者の前では無力なのか。法廷は弱者に正義を勝ち取るチャンスを与える場ではないのか。そして裁判が始まる…
裁判と病院というシリアスな場所が舞台で、内容も医療過誤とかなり重いが、単なる法定活劇にとどまらず、陪審制度のあり方自体、また人間の本質に鋭く問いかける映画となっている。権力のあるものの前で人は、いかに無力であるかをまざまざと感じさせ、そこに感じる憤りは頑張れフランクと叫ばずにはいられなくする。しかし、この映画は希望という言葉も忘れていないので、いたるところで感動を覚えさせてくれるだろう。監督があの「12人の怒れる男」で絶賛を受けたシドニー・ルメット、またポール・ニューマンが主演で白熱の演技をして、裁判映画の集大成といえるべきものになっている。原作者のバリー・リードは現役の弁護士で、実際に自分が扱った高額医療過誤訴訟事件をモデルに書いたこの小説は、全米ベストセラーであった。
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■この映画の英語について
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法廷映画であり、病院、教会を扱ったテーマであるため、当然専門用語の頻度が高いが、これらを理解すれば、この映画を更に楽しめる。特に法律に関する用語 sue(訴訟を起こす)/testimony(証言)/trial(裁判、審理)/accuse(告発する)/deposition(証言録取)/defendant(被告人)/plaintiff(原告)/witness(証人)/objection(異議あり)/overruled(却下)/exception(抗議)などは、他の映画でも頻繁に登場し、専門用語とはいえ覚えておいて損はないだろう。また将来あなたが必要になるかも…
俗語、卑語の使用は少なく老弁護士のミッキーが怒ったときに、怒りの強調として使われるのがいちばん多い。"I'm done fuckin'
with you!(お前にはもううんざりだ!)や "Life's too fuckin' short, Frankie. And
I'm gettin' too fuckin' old."(人生なんて短いんだぜ、俺ももう年だ。)等強調する言葉の前に置いて使っている。こういった使い方をお勧めはもちろん出来ないが、よく使われる一般的卑語なので知っていても良いのでは。
基本的には標準米語に近いが、いわゆる典型的なニューヨーク・アクセントを含み、"R"の発音が欠落することがある。例えば"there"であると"thea"のように聞こえるので、気をつけて聞いてみると面白い。
また、この映画の中には印象に残るセリフが随所に見られる。最初の原告証人のグルーバー博士は、なぜこの事件で証言するのか、と問うフランクに"To
do the right thing! Isn't that why you're doing it?"(正義のためさ。君もそうじゃないのかね?)とサラリと言ってのける。そして正義のために立ち上がることを決めたフランクが、教会での示談を蹴るときに"...I
can't take it. 'Cause if I take the money, I'm lost. I'll be a...rich...ambulance
chaser. I can't do it, I can't take it."(金は受け取れない、受け取れば、自分じゃなくなる。ただの・・・金目当ての・・・チンピラ弁護士になってしまう。俺にはできない、受け取れない)からは彼の決意の深さが感じとれる。原告証人になった医師トンプソンの言葉"You
know, Mr.Galvin, sometimes people can surprise you. Sometimes they
have a great capacity to hear the truth."(時々人の力には驚かされます。真実に耳を傾けるという素晴らしい能力があるのです)も人の素晴らしさを信じる言葉だ。最後に最終弁論での"I
believe that there is justice in our hearts."(誰の心にも正義はあると信じます)は正義のために最後まで戦った男の言葉として、非常に感慨深い。 |
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■目次
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1. |
儲け話 |
A Very Good Case |
……………… |
7 |
2. |
正義のために |
Do the Right Thing |
……………… |
19 |
3. |
決意 |
The Defense |
……………… |
31 |
4. |
悪徳判事 |
The Judge |
……………… |
41 |
5. |
孤立無援 |
No Sympathy |
……………… |
53 |
6. |
コード・ブルー |
Code Blue |
……………… |
67 |
7. |
戦闘開始 |
Trial |
……………… |
79 |
8. |
受付係 |
The Admitting Nurse |
……………… |
92 |
9. |
ニューヨーク |
New York |
……………… |
103 |
10. |
評決 |
The Verdict |
……………… |
110 |
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■コラム
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ポール・ニューマン |
……………… |
30 |
陪審制度について |
……………… |
52 |
弁護士養成の専門学校、ロースクール |
……………… |
66 |
原作者、バリー・リードについて |
……………… |
121 |
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■リスニング難易度
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評価項目
| 易しい → 難しい
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・会話スピード
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・発音の明瞭さ
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・アメリカ訛
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・外国訛
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・語彙
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・専門用語
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・ジョーク
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・スラング
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・文法
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合 計 |
21点 |
( 16以下 = Beginner, 17-24 = Intermediate, 25-34 =
Advanced, 35以上 = Professional )
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