サイダーハウス・ルール
著者 ジョン・アーヴィング
翻訳 藤田 真利子,伊東 奈美子
ISBN 4750000779

『ガープの世界』『ホテル・ニューハンプシャー』『オウエンのために祈りを』などの作品を著したアメリカ文学界の大御所、ジョン・アーヴィングの同名小説が映画化された。映画化には紆余曲折があった。原作者であるアーヴィングと映画製作会社との折り合いがつかず、脚本にたどり着くまでに13年間の年月を経て、その脚本自体もアーヴィング自身が書いた。監督にはラッセ・ハルストレムが指名され、ようやく映画化実現への運びとなった。

本書は、映画脚本の対訳で定評のある愛育社が、アーヴィング自身が書いた脚本を、忠実に出版したものである。撮影中の俳優のアドリブや編集によるカット部分はいっさい反映せず、あえてジョン・アーヴィングの原脚本に忠実に従っている。

映画の余韻に浸りたい人、すばらしい脚本で英語を勉強したい人、原作とは別感覚で読みたい人におすすめの本。『サイダーハウス・ルール』は原作、脚本、映画のどれをとっても非の打ちどころがない。この3つの作品すべてに触れることをすすめたい。なお、この作品でジョン・アーヴィングはアカデミー賞最優秀脚色賞を受賞した。(鬼杖 猛)