WORKING GIRL

ワーキング・ガール



書 籍 紹 介
 
映 画 紹 介
書 名 スクリーンプレイ
「ワーキング・ガール」
製 作 1988年
編 集 山田 均 会 社 Twentieth Century Fox
仕 様 A5版、104ページ 監 督 Mike Nichols
発行日 1991年11月 脚 本 Kevin Wade
出版社 株式会社スクリーンプレイ 出 演
Harrison Ford
定 価 本体1,200円(税別) Sgourney Weaver
ISBN 4-89407-033-2 Melanie Griffith

この映画のストーリー
 テス・マグギルはニューヨークの証券会社で働くO.L.。学歴はないが向上心は人一倍旺盛な努力家でいつか専門職で身をたてたいと考えている。そんな彼女の意欲を知りながら適当にあしらうだけの上司に逆らったため、テスはまた配転になった。新しい上司キャサリンは出世コースを歩むキャリアウーマン、あなたのアイディアもどんどん出してと今までになく励まされたテスは、トラスク産業とラジオ局の合併を企画提案するが、キャサリンにアイディアだけ横取りされてしまった。悔しさのあまりテスはキャサリンがスキーの怪我で入院中に仕返しに出る。この合併案のパートナーであるジャックに話を自分から持ちかけたのだ。
彼はこの企画に乗り気になり、二人の協力で話はとんとん拍子に進み、契約は実現の運びになる。テスとジャックは意気投合、二人の間に恋が生まれた。しかし彼はこの前までキャサリンと恋人付き合いをしていたのだ。退院したキャサリンは事実を知って激怒した。契約調印の席に松葉杖をついて乗り込み、「その女は私のアイディアを盗んだ秘書なんです!」と叫ぶ。驚きで戸惑うジャックにテスは「彼女が私のアイディアを盗んだんです・・・でも信じてくれないでしょうね」と言い残しその場を去った。失意で会社を辞め、デスクを整理して出てきたテスはエレベーターの前でジャックたちと鉢合わせする。そこで事実を知ったトラスク社長は、テスの能力と仕事に対する熱意を評価し自分の会社の重役に抜擢したのでだった。

80年代後半に発表された一連のビジネス映画の中でも、コメディとしての面白さ、現実を的確に描く鋭い視点、明日に希望を抱かせてくれる幸福度において、この映画は最も素晴らしい作品と言えるであろう。仕事の効率を重視するアメリカのビジネス社会は、人材登用においても実力主義、機会均等が徹底していると思いこみがちであるが、現実には一般の企業においてもアイビーリーグ、MBAといった経歴、資格をもつエリート階級とでもいうべき集団と、それ以外の人達の階級へのこだわりが、意外に広く存在している事実を見過ごしてはならない。テスやミックや秘書仲間のシンたちのくらしと、キャサリンのそれとでは、仕事の内容はもちろん、言葉使い、友人関係、住まい、服装、食事、趣味にいたるまで全てに相違があるのだ。トップ・マネジメントとして実力を振るうためには、それなりの名門校をでること・・・その授業料を払うにはまたそれなりの家柄に生まれたほうが有利だという構図は、その他、大多数の普通の人たちの夢と現実の葛藤と決して無縁ではないのであろう。



この映画の英語について
 ビジネス最前線で日常的に交わされる会話、証券取引、M&A などの仕事を進める上で使われる金融関連の専門用語などが学べる。
(例)short (空売りの)/ arbitrage (裁定取引)/ tender (公開買い付け)/ hostile takeover (企業の乗っ取り)/ quarterly report (四半期報告書)/ballpark (概算)/ R.S.V.P. (出欠の返事されたし)/ write off(損失勘定)/ option(選択売買権)など・・・。
 学歴、キャリア、私生活など全てがエリート然としたキャサリンの会話は、語彙も豊富で比喩表現なども多く、ドイツ語までこなすという、知的な話し方の典型である。一方、テスや秘書仲間はブルックリンやスタッテン島などに住んでおり、彼女たちの会話にはいわゆるニューヨークの下町言葉、ブルックリン訛りとも言われるアクセントが混じる。 talk を [トーアク] に近い発音をしたり、 first が [フォイスト] に聞こえるなどの特徴である。この両者の特徴の対比、特にテスがエグゼクティブに扮しているときに一人二役でその話し方を変えるところも面白い。ジャックからの電話を先ず、秘書の口調で応対して、それを次にエレガントな話し方に変えて、ビジネスの話に入る場面である。
 テスはトラスク社長にその能力と意欲を買われ、新たなチャンスをつかみ取った。今度は自分がエグゼクティブとして秘書を使う立場に立つのだが、使われる側の気持ちが分かるテスの次の言葉には思いやりがうかがえる。
"I don't expect you to fetch me coffee unless you're getting some for yourself. And, the rest we'll just...make up as we go along."
(ついでがない限り、わざわざ私にコーヒーを入れてくれなくて結構よ。その他の事は二人で追々、考えていきましょう)
 キャサリンがテスに洗練された口調で、
"Dress shabbily, they notice the dress. Dress impeccably, they notice the woman."
(だらしのない服装は服だけが目立ち、きちんとした服装は女を引き立たせる)
という言葉を引用しているのと比較すると相違がはっきりする。 そんな彼女に最も同情を覚えてしまうのが、契約調印の席に乗り込んできたキャサリンに、あの女はただの秘書でアイディアを盗んだんですと濡れ衣を着せられた時に、憤りと後悔の混じった悲痛な気持ちで涙をこらえながらジャックに言う台詞である。
"I know you don't believe me, but...it doesn't matter. I'm sorry. I'm sorry."
(信じてはくれないでしょうね。でもいいの。ごめんなさい)
 そして自分の努力で人生を切り開いて行こうという意思の強さが鮮明に現れているのがテスのこの言葉である。
"I'm not gonna spend the rest of my life and getting nowhere just because I followed rules that I had nothing to do with setting up, okay?!"
(自分と関わりのないところで定められたルールにだけに従って、一生このままで終わりたくないの)


[ Listening Ability Evaluation ]
スクリーンプレイ編集部の「リスニング難易度」評価一覧表)

評価項目 易しい → 難しい
・会話スピード
1 2 3 4
・発音の明瞭さ
1 2 3 4
・アメリカ訛
1 2 3 4
・外国訛
1 2 3 4
・語彙
1 2 3 4
・専門用語
1 2 3 4
・ジョーク
1 2 3 4
・スラング
1 2 3 4
・文法
1 2 3 4
合 計 18点

( 14以下 = Beginner, 15-18 = Intermediate, 19-22 = Advanced, 23以上 = Professional )